【結晶が命】なぜチョコレートはテンパリングをする?目的や効果解説。

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チョコレートを扱う上で必ず行う必要が出てくるのが「テンパリング」という調温操作です。

テンパリングは、チョコレートに含まれる、油脂分であるカカオバターをちょうどよく固めるために必要な操作です。

これからチョコを初めて扱う方でもできるだけわかりやすいように詳しくテンパリングについてまとめてみました。

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チョコレートをテンパリングする目的

チョコレートを扱う時に必ずテンパリングを行う。その目的について話したい。

チョコレートの食感・光沢・口どけ感を整える

きちんとテンパリングを行ったチョコレートと、そうでないチョコレートを比べた時に違いが出るのがこの3点である。それぞれが良い状態でできたチョコレートが良いものとして評価をされている。

テンパリングを行うと、パリッとしたいわゆるスナップと言われる食感と、艶やかな光沢感、そしてなめらかな口溶けが実現される。

しかしテンパリングをしない場合には、パキッと割れる様な食感はなく、曲げてもある程度割れずに耐えるし、マットな表面でツヤはないし、ざらつきの残る食感になる。

場合によってはチョコレートの表面に白くカカオバターが出てきてしまうブルーム現象が起こることもある。

チョコレートの安定性がよくなる

テンパリングをすると、チョコレートに含まれるカカオバターの結晶が安定した構造となって、風味も長持ちする。

しかしテンパリングを行わない場合、手に持った程度の温度でも溶けやすく、風味も悪いものとなってしまう。

チョコレートをテンパリングする根拠

一言にテンパリングと言っても、それを行うにはもちろん理由がある。

基本的にチョコレートにはカカオバター、カカオマス、砂糖が基本構成となる。ミルクチョコであれば前述に構成に粉乳が入り、ホワイトチョコであれば、カカオバター、砂糖、粉乳の構成となる。

どのチョコレートをとっても、すべてカカオバターが含まれる。ということに注目してほしい。

チョコレートをテンパリングする。のではなく、カカオバターをテンパリングする。と考えるととても考えやすく、理解が深まる。

チョコレートに含まれるカカオバターの結晶の変化

学術的な話になってしまうが、理解していると、実際に調温操作をする時に、イメージしながらできるので是非読んでいただきたい。

カカオバターは複数の結晶構造を持っている。

I型〜VI型の6種の構造をもち、V型、VI型が一番安定した結晶になる。それ以外の結晶は不安定で、壊れやすい結晶構造になる。

この安定な結晶を作るために、行うのがテンパリングです。

融点(結晶が溶ける温度)が一番低いのがI型で17度。次にII型が23度、25度、28度、と続き、わりと安定なV型が33度、安定なVI型が36度となっている。

テンパリングしたチョコレートの最も良い状態とは

テンパリングの具体的な方法については別の記事を参照してほしいが、一度冷却して27〜28度に冷却すると不安定なIV型の結晶が多くなる。しかし、このまま固めてしまうと結晶構造が不安定なため、ブルームが出てしまったり、食感・光沢感・口溶けが悪くなりやすい。

一旦冷却した温度から安定なV型・VI型結晶を増やすために再度30~32度まで加熱する。

この時に不安定なIV型は融点が28度のため融解して、安定なV型・VI型の元となる種結晶が形成され、そのまま冷却し固めた場合、食感・光沢感・口溶け感ともに良い状態になる。
V型・VI型が多い状態といっても実際のカカオバター中の10%にも満たない数パーセントの量だが、I~IV型は30度では完全に融けた状態であってほぼカカオバター中にその結晶はない状態になる。

チョコレートではなくカカオバターを調整する視点が大切!

前述のとおり、テンパリングはあくまでもカカオバターの結晶構造を操作するために行う作業であって、チョコレートをテンパリングしているという感覚を外すととても理解しやすくなる。

砂糖・粉乳ほか添加される副材料によってカカオバターの結晶構造の生成に関わる温度は多少の変化が見られるが、カカオバターの結晶の融点と安定・不安定を知ることで、迷いのない調温操作ができる様になると考えます。

参考にしたサイト
チョコレートのおいしい物理学

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